類型と変形の複数性について

レクチャラ:楊 光耀

日時:2018年2月18日18:00~21:00 @ 東京大学工学部1号館2階製図室

メニカン#2では、運営メンバーの楊の卒業論文を元にレクチャーを行い、設計プロセス論の議論が交わされた。

まず、多くの設計の事例から、設計プロセス中で、設計案の選択肢を増やす「複数性」に着目し、建築家がいかなるプロセスで多くの形を生み出すか、を考えた。

その意義には、設計について設計者が各々の視点から述べた言説は数多くあるが、それらは設計プロセスについての共通言語を一般的に持たず、設計プロセスの「複数性」を考えることで、その共通言語を探ろうと試みた。

「複数性」を考える上で、1.思考論理ー2.造形手法ー3.空間形態、の三つの諸形式が、設計プロセスの中で、いかに連続性を持って変遷していくか、についての分析と考察が行われた。

事例として、原広司の二項対立概念を階層的に統合する形式、ロブ・クリエの原形の形態と変形の操作を掛け合わせる形式、坂本一成の連動した意味と形態の多様な包含関係の形式、ウィリアム・ミッチェルの一つの原形から生成された無数の微小差異の形式、などが挙げられた。

論点としては、事例の選定の範囲や理由、「複数性」の形式の普遍性、良い建築設計のためにプロセスを考えることの妥当性、などが挙げられたが、こうした議論は、いずれも設計プロセス論が事後的にしか説明できないことの矛盾や難題を抱えていることが明らかになった。

文責:楊 光耀